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生成AIが企業に採用される6つの事例

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生成AIの活用も多くの企業で進んでいます。個人的な感覚として1年前くらいは生成AIの活用方法の検討やPoCをたくさんの企業で実施していたイメージですが、昨今ではかなりの数の企業でプロダクションでの稼動が始まり、業務の生産性向上に役立つユースケースが増えてきました。今回は特にAmazon Bedrockを使った生成AIアプリケーションで大きな成果をあげている6種類のユースケースを紹介します。これから生成AIを活用していきたい方のヒントになれば幸いです。

複雑かつ大量のデータ読み取りと整理

主にバックオフィスで請求書や仕様書の読み取り、複雑な決算短信データ、財務データや帳票、コールセンターでの文字起こしなど、データが大量にありかつその読み取りや記録に工数がかかる作業を生成AIを使ったアプリケーションを開発することで40 - 90%の効率化が可能となります。PDFなどのデータの読み込みには専用のOCRを開発してテキストデータに変換することが一般的でしたが、生成AIを使うことで専用のモデルを開発すること無くデータの読み込みと整理が可能になります。また、コールセンターなどの文字起こしについてはAmazon Transcribeを使用することで音声データをテキストデータ化、更に生成AIでテキストデータの要点をまとめるなどして後から要点を担当者が処理しやすくするといったことも可能です。

ドキュメント読み込みのためのAWSアーキテクチャ
音声データ読み込みのためのAWSアーキテクチャ

AWSのサイトにて生成AIによるデータ読み込みにより業務効率化した事例を紹介しています。

オペレータへの専門知識の補助

コールセンターや営業部門では、顧客対応に専門的な製品知識が求められるケースが多々あります。例えば、製造業では数千、数万もの製品があり、全ての仕様をオペレーターが熟知するのは非常に困難です。また、システム障害や法的な書類に関する問い合わせには、専門知識をもとに的確な回答が求められます。

このような状況に対応するため、生成AIを活用して社内ドキュメント検索チャットボットを開発することで、未熟練者の補助を行い、迅速に専門知識を得られる仕組みを構築します。この取り組みの成果として、15年以上の熟練者が1時間かけていた回答を、経験3年目のオペレーターが1~2分で対応できるようになる例もあります。また、セキュリティ関連の問い合わせのうち、60~80件の専門的な内容の半数を、専門知識を持たないスタッフが対応可能にした企業も存在します。

このようなチャットボットは、Amazon Bedrockと、構造化・非構造化データを自然言語で横断的に検索できるAmazon Kendraを組み合わせて構築するのが効果的です。これにより、顧客対応の効率と精度が大幅に向上し、組織全体のパフォーマンスが改善されるでしょう。

社内文章検索AWSアーキテクチャ

AWSのサイトにて生成AIによるオペレータの専門知識を補助する社内検索システムの開発により業務効率化した事例を紹介しています。

営業支援ツールとして

生成AIは、営業関連のタスクを大幅に効率化する可能性を秘めています。例えば、毎月数千から数万件のオンライン商談を録画し、それらをインプットとして文字起こしを行い、さらに要点を要約した議事録を自動生成することで、従来の手動での議事録作成と比較して50~70%の作業効率化が実現できます。Amazon Transcribeを使用して文字起こしを行い、Amazon Bedrockで要約を作成することで、商談の確定事項やネクストアクションを正確に抽出できます。

また、全国の支店から毎日上がってくる数百件の営業日報を生成AIで自動抽出し、営業状況を可視化・分析する機能を導入することで、分析にかかる時間を大幅に削減することが可能です。さらに、社内ドキュメント検索を生成AIで構築すれば、これまで営業活動に活用できていなかった資料から有用な情報を抽出し、営業効率の向上や新規営業機会の創出にもつながります。

これらの取り組みにより、営業部門はデータを最大限に活用し、迅速で的確な意思決定が可能となるでしょう。

規定やガイドラインに基づくコンテンツチェックの効率化

品質管理部門や監査部門での社内規定やガイドラインに基づいた公開前のコンテンツチェックに生成AIを活用することでチェックにかかっていた対応時間を60 - 90%削減する事ができるでしょう。生成AIは過去のデータや事例を学習し続けるため、時間が経つにつれて精度も向上します。これにより、人的ミスを減らし、より一貫性のあるチェック体制を維持することができます。さらに、AIが自動的に行うチェックは、一定のルールやパターンに基づいているため、担当者ごとの判断のブレも減少し、コンプライアンスリスクを低減することが期待されます。

法的な文言やブランドガイドラインの遵守、差別的表現の検出など、AIによる初期段階のチェックは、内容の健全性を確保するための重要なステップとなります。結果として、品質管理部門や監査部門の担当者は、AIが自動的に抽出した潜在的な問題に集中して対応することができ、より高い付加価値を生み出す業務に専念できます。

例えば、金融系のシステム開発やコンサルティングサービスを提供している株式会社FleGrowth様ではISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の維持審査を効率化するために生成AIを活用しています。100以上ある社内規定やマニュアルをインプットとしてISMS維持審査に向けた想定質問集を部署ごとに生成するRAGアプリケーションをAmazon Bedrockで開発して大幅な効率化を達成しています。

AWS Summit Japan内でAIサポートデスクが事例として掲出されました

検索機能の性能改善・向上

B to C向けの商品を販売しているECサイトやカタログ配布などを行っているビジネスでは検索性能による商品の提案力改善は非常に重要な課題でしょう。商品を探す際の説明文やタグ付けや検索の柔軟性などを生成AIを使って改善することが可能です。

例えば、商品検索を単純なテキストでの一致検索ではなく、自然言語で検索して、利用者の意図・目的に合った検索結果を得ることができるセマンティック検索の機能が生成AIとベクトルデータベースを使用することで実装が可能になります。例えば、「春のガーデニングの始め方」を検索したしたとすると通常の検索だとクエリに含まれる「春」、「ガーデニング」、「始め方」などの単語を含むページを表示します。しかし。セマンティック検索だと「春にガーデニングを始めるためのガイド」や「初心者向けの春の庭作りのステップ」など、クエリの意味に即した結果を優先して表示します。セマンティック検索は、季節や行動に関するコンテキストを理解し、ユーザーが本当に探している情報を提供します。

具体的にはAmazon OpenSearchなどのベクトルデータベースの機能を持つデータストアに検索対象をすべてベクトルデータ化して格納します。検索ワードについてはAmazon BedrockのEmbeddings Modelを利用してユーザからの検索ワードをベクトル化、データストアに検索を行うことで可能となります。

セマンティック検索の簡易なAWSアーキテクチャ

セマンティック検索以外にもSNSにアップするユーザの写真のキャプションやタグを生成AIで自動付与することで検索性を上げると行ったことも可能です。AWSでは検索機能の性能改善の事例として以下が公開されています。

株式会社オズビジョン様の AWS 生成 AI 事例 : Amazon Bedrock と Amazon Aurora によるポイント対象広告検索機能

商材作成

生成AIを活用することで、広告・マーケティング部門や営業部門では、クリエイティブ制作の自動化が現実のものとなります。例えば、商品画像やブログ記事に合わせたアイキャッチ画像を自動生成することで、制作の手間を大幅に削減することができます。この自動化により、クリエイティブ制作にかかるコストが削減されるだけでなく、SNSなどへの投稿頻度を増やすことが可能になり、結果として商品の露出度が向上します。

さらに、生成AIはパーソナライズされたコンテンツを生成することができるため、ターゲットユーザーにより効果的にアプローチできます。例えば、異なるユーザーセグメントに対してカスタマイズされた広告バナーやソーシャルメディア投稿を自動で作成し、それぞれのニーズや嗜好に合わせたメッセージを届けることが可能です。

このように、生成AIの導入は、クリエイティブ制作の時間を大幅に短縮し、マーケティング戦略をより柔軟かつ効果的に展開するための強力なツールとなるでしょう。

まとめ

この記事では企業でよく使われる6つのユースケースを紹介しました。生成AIは企業の業務効率を大幅に向上させる強力なツールであることがわかります。バックオフィスでのデータ整理から営業支援、顧客対応、さらにはマーケティングクリエイティブの自動化まで、さまざまな分野での導入が進んでいます。弊社Serverless OperationsでもAWSを利用した生成AIアプリケーションの開発の支援が可能です。是非、興味があればお問い合わせください。

Written by
CEO

堀家 隆宏

Takahiro Horike

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