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事業会社の内製化の取り組みをご支援して成功したケース:RYODEN様の場合

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先日、「ITが本業ではない事業会社でも、クラウド上でのシステム開発を内製化すべきメリット」というエントリを公開したところ、予想外に多くの反響をいただきました。

そこで、私たちが過去にご支援をしたお客様の事例から、あのエントリで触れた内製化のメリットがどのように当てはまったのか、改めてご紹介したいと思います。

元のエントリで触れた内製化のメリットは以下のようなものです。

  • コストの削減:外注によってプロジェクトマネジメント、スタッフ間のコミュニケーション、そして人件費が嵩むが、内製化することで基本的これらが削減できる
  • イノベーションサイクルの加速:内部にスキルやノウハウが蓄積。同時に開発スピードも上がるため、新しいことへ取り組むことができベンチャースピリットが培われる

では、私たちが実際にご支援した企業のなかから、RYODEN様のケースについて、事例記事を元にご紹介しましょう。

RYODEN様が内製化にあたり直面した2つの課題

RYODEN様はビルの電源・機械設備、工場の生産設備などを取り扱う、エレクトロニクス商社ですが、近年はそうした施設や設備に付随するICTソリューションも多く手がけるようになりました。

新規事業開発部において、こうしたソリューションを新たに開発するプロジェクトとして、食品工場向けの虫検出システムの開発が立ち上がりました。害虫・害獣駆除を専門に行っている事業者向けのソリューションとして、食品工場内に設置したカメラの映像をAIによって処理し、虫を検出して数を数えるというシステムです。

駆除業者はこの検出結果を元に、工場内の殺菌や殺虫といった害虫・害獣への対策を行います。従来は専用の捕虫器などを用いて目視による確認とカウントで行っていたため、非常に手間の掛かる作業でした。それをAIの活用によって省力化することが、このソリューションの狙いです。

開発にあたって、新規事業開発部の担当者様には、大きく2つの不安がありました。ひとつは、クラウド開発に当たって改めてチームに加わったメンバーのスキルについてです。新メンバーは、それまでC言語やアセンブラを使って組み込み系の開発を主に行っており、プログラミング経験こそあるもののクラウドベースの開発は未経験だったのです。

もうひとつは、依頼を主導した担当者にはクラウド開発の経験があったものの、従来は開発会社に外注することが多かったため、実際のクラウドベースの開発におけるスキルやノウハウといったベストプラクティスについての知見が足らないことです。

そこで、私どもサーバーレスオペレーションズに、異動してきたメンバーへのリスキルと、クラウド開発のベストプラクティスに関する知識移転をご依頼いただきました。

コスト削減とイノベーションサイクルの加速

内製化のメリットのひとつであるコスト削減について、RYODEN様のケースで見てみましょう。

過去においては開発会社に依頼していたところが、内製化を実現できたことと、従来よりも大幅に開発スピードが上がったことで、プロジェクトマネジメントコスト、コミュニケーションコスト、そして人件費を圧縮できました。

また、内製化するということは、ソースコードやアーキテクチャをすべて自分達の手で作りすことであり、ソースコードがブラックボックスにならず、自分達の手による継続的な改良や機能追加が行いやすくなりました。つまりCI/CDによる継続的な開発サイクルの実現です。これによって、短期でのコストだけでなく、長期でのコストも下がる見通しが立ちます。

また、内製化に当たってチームに加わったメンバーは、新規の採用ではなく社内での異動でした。昨今のIT人材不足は深刻で、多くの企業において採用コストが上昇しているため、社内での人材発掘やリスキルに掛かるコストを鑑みても、こちらのほうがリーズナブルとなります。

さて、2つめのメリットである、イノベーションの加速についてはどうでしょう。

内製化の支援にあたって、課題となったのが、ベテランメンバーとのスキルの差をどう埋めていくかです。そこで私たちがご提案したのが、新規メンバーをプロジェクトへアサイン、実際に作業しながら日々のタスクを完遂してもらい、最終的に開発を完了させるという、成功体験の獲得です。

新規メンバーに対して、従来の組み込み系開発とは技術的にもプロジェクトマネジメントの観点でも、まったく異なるクラウドベースでのソフトウェア開発に慣れ、継続して取り組むためのスキルと自信を身につけてもらうためには、多少強引であっても背中を押してあげ、自分の手でタスクをクローズし、プロジェクトを完遂させることだと私たちは考えました。

実際にそれを行ったところ、予想以上に新規メンバーの成長を見る事ができました。成長に伴う彼らのマインド変化は大きく、ソフトウェアの不具合が発覚しても、自分達から手をあげ、その修正タスクを引き取り、数日でタスクをクローズしてくれるまでになりました。

これによりチーム全体がアジャイルな組織に近づき、様々な開発プロジェクトに柔軟に対応し、また以前より開発スピードも向上しました。実際にRYODENの担当者様も、こうした内製化のメリットを実感できているとお話しいただきました。

サーバーレスで内製化の成功体験を積むために

RYODEN様のように、クラウドベースのモダンなソフトウェア開発の内製化は実際に可能であり、私たちも多くの企業においてこうしたご支援を行っています。一方で、内製化に取り組みたいけれど、なかなか上手く行かないという企業様もいらっしゃいます。

しかし、先述したように、経験が浅いエンジニアであっても、実際にプロジェクトのなかでタスクを遂行していくことで、着実にスキルセットやマインドセットを身につけることができるのです。そのためにも、まずは小さなプロジェクトで「サーバーレスでの内製化」の成功体験を積む、小さな一歩から初めてみるのはいかがでしょう。

Written by
編集部

Serverless Operations編集部

Editing Department

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